天気の良い休日早朝の高速道路は、ゴルフ場にカッ飛ぶハイスピードセダンやツーリングに向かうスーパーカーなどと遭遇することが多い。
“すてごろ車”であることを運命づけられているGT-Rにとって、油断ならぬ時間帯である。



2012年12月、場所はインディアヤンキー自動車道下り線、タンゴICより2マイル・ノース片側一車線の地点(BMW650iエスティマとのバトル参照)。
55ノットで巡航するわが33Rの後方1200フィートに徐々に接近してくる機影を認めた。ミラーに映る姿は小さく、また振動のため肉眼で機種を確認することは困難であるも、その車からは威圧感が感じられた。徐々に緊張が高まる。


           


私の不安は的中した。W211ベンツE55 AMG(476PS,71.4kg)であった。
バンパー開口部からわずかに見えるインタークーラーから、E320アバンギャルドのハッタリ仕様ではなく、ホンモノであることが分かる。
これまで幾度かAMGとのバトルを経験してきたとはいえ、やはりAMGに後ろにつかれた時の威圧感は強烈である。
追い越し区間を前にして徐々に緊張が高まる。だいぶ日は上がってきたが、路面はいまだ朝露が残りセミウェットの状態。勝負となった場合、4WDである当機が安全面では有利かもしれないが、AMGも優秀な電子デバイスで守られている。
うらむらくは追い越し区間が3000フィートと短く、最高速よりも加速勝負になることが予想される点だ。最高出力では当機が上回るも、はるかに大きなトルクを有するE55AMGが中間加速では勝る可能性がある。



追い越し区間を前に緊張のヴォルテージが上がる私であったが、E55AMGは一定の車間を保ったまま一向に接近してくる気配がみられない。
2車線になった途端、一気に抜き去るつもりだろうか。逆に気味が悪い。経験の浅いドライバーは猪突猛進タイプが多いが、手練れの走り屋はバトルデザイン を十分練ったうえで相手を一気に仕留めるスナイパータイプが増えてくるからだ。



私とて走り屋としての矜持は持っている。今の状況は、強い相手が後ろに張り付いただけだ。別に当機を煽っているわけではないのであるから、こちらから戦闘を開始することはできないのだ。
また、不用意に加速体制に入ることは当方の心理状況を相手に暴露することにもなりかねない。速度60ノットをキープする。E55AMGに少しでも加速の兆候が見られたら即戦闘開始できるよう警戒を続ける。



そしてついに追い越し区間が来た。
わが33GTRは右車線に移り、速度を70ノットまで上げ、前を走る一般車を1台パス。AMGも右車線に移る。いよいよ来るか?
ん? 来ない・・。
80ノットまで速度を上げて引き離すことでE55を挑発してみるも、反応がみられない。
E55は普通に流しているだけではないか。


      


今回は私1人の勝手な妄想に終始しただけであった。
インディアヤンキーICで降り、信号で横に並んだE55AMGの太いタイヤ、でかい8ポットブレーキ、4本出しのマフラーをまじまじと眺めた。
そのE55AMGは、一般道でもマナー良く走っていたのが印象的であった。



                        
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