33GT-R vs プリウス、エスティマ アエラス



私はすてごろ日記でドイツ車を中心とする外車とのバトルを報告することが多いが、国産車との紛争もそれ以上に多く経験している。
今回紹介するのは、同じ日に経験したプリウスおよびエスティマとの戦闘記録である。



ご存知のように、高速道路を猛烈な速度で飛ばすプリウスは決して珍しくはない。確かにプリウスはガソリンエンジンの2.4リッターに匹敵する優れた動力性能を有している。しかし、私はこの現象の主な原因として、エコ・カーの看板を掲げるプリウスに周囲がお行儀のいい運転を期待することに対する反骨心をドライバーに引き起こすため、あるいは意外な驚きを周囲に与えてみたい誘惑にドライバーがかられるためであろうと推測している。



2013年11月某日、時刻ひとはちまるまる、私は夜勤に出向くためマイク自動車道上り線を70ノット弱の速度で巡航していた。その日は正午まで大雨が降っていたこともあり、路面はまだ完全には乾ききっていなかった。



シエラ峠下りのトンネルに差し掛かった時、はるか後方に1台の車を発見。その機影はまたたく間に我が33GT-Rに接近してきた。
私は直ちにアラート態勢に入った。



” 来た! あっ、プリウスだ。 ”


 


私もアクセルを踏み込んで速度を上げたが、道を譲らなかったのが気に入らなかったのだろうか、プリウスは左車線に移り、我が33Rを追い越しにかかった。左から追い抜こうというのか。私は意地悪をしてやろうと思い、プリウスが追い越せないようにさらにGT-Rの速度を上げ、国産リミッターの作動する100ノットに達した。すると、そのアクションに反応してプリウスもさらにアクセルを踏んで加速、我が33Rより頭一つ分前に出た。



” バカが・・。 にしてもエコカーのくせにやたら速ぇーな。 こりゃ、調子に乗ってスピード出すわな・・・ ”
同様に調子に乗っている自分のことは眼もくれず、私はプリウスを罵った。



そして、私はGT-Rのアクセルを踏みぬき、超リミッター域に突入してプリウスを引き離した。
プリウスとのバトルはこれまで何度も経験してきたが、国産リミッター域で左車線から追い越しをかけてくるアグレッシブな相手はこれが初めてだった。
 






さて、そのあと私はタンゴICでインディアチャーリー自動車道にのり、片側単車線の道をノースウェストに向かった。
しばらくすると、後方より1台の車が接近してきた。暗いため車種は分からないが、雰囲気から判断するに威圧感や凄みは感じられず、国産車ではないかと思われた。その車は、我が33Rを煽ってくるわけではないが、常に一定の車間をキープしてロック・オンしてくるように感じられた。


 


追い越し車線が来ると、私は前を走る一般車2台をパスして、一気に速度を90ノットまで上げ、背後の敵の追尾を振り切ろうとした。しかし追い越し車線が終わるあたりで、いったん引き離したかに見えた敵が接近してくるのが目に入った。



” なッ! 追いついて来ている?  バカな・・・一体何者? ”  



リスキーなハーフウェットで片側単車線の道を私は国産リミッターに近い速度で走っているにも関わらず、敵はそれ以上の速さで我が33Rに迫ってきた。対向車がいるので、ライトを上向きにして前方を確認することもままならぬ状況において、もうこれ以上増速することは私にはできなかった。
前方に一般車が現れたので減速。しかし敵も同じように減速し、我が33Rと一定の車間を保ち、煽ってはこなかった。



” 分かってるじゃねーか。 渋い野郎だ・・・ ”



もし同じ条件下で、逆に私が後追いであれば、やはり私も容易に敵の背後にくらいつくことができたであろう。これが後追いの優位性というものだ。しかし戦いに”もし”は存在しない。後追いの優位性という厳然たる法則を活用し、格上の相手に屈辱を与えることに成功した点で、相手の勝利であり、私の敗北である。私は悔しさを感じるよりも、むしろ敵の見事な戦いぶり、そして戦いの後の振る舞いに対し、大いに感心させられた。



私は相手が何者か早く確かめたくなった。ICを降りてすぐの信号で横に並ぶと、はたして相手のクルマはエスティマ・アエラス(3.5L 280馬力)であった。ただのミニバンかよッ、と驚いたが、確かにあの高速域でのスピードのノビは3.5リッターならではのものである。



テンションの上がった私は、称賛の意味で親指を立てて合図した。ドライバーの青年は、飄々(ひょうひょう)と不思議そうにそれを見ていた。


            
   

                         
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