vs Mercedes-Benz E320



その晩、私は33Rで閑散としたマイク自動車道上り線を巡航していたS550フェアレディZとの戦い参照)。
時刻はふたひとまるまる、夕方の豪雨により路面はハーフウェットであった。
キロICより、およそ8マイルイーストの地点で、後方から当機に向けて接近してくる1台の機影を確認。
私は直ちに警戒態勢に入り、33Rを加速。しかし、敵機は推定90ノットの速度で急接近し、わが33Rをぶち抜いていった。


           
           W211 メルセデスベンツE320 V6 3200t 224馬力 32.1kg


戦闘開始。E320を追撃する。私の追尾に気付いたE320も即座に戦闘態勢に入り、さらに速度を上げてゆく。
雨上がりでハーフ・ウェットとなった高速コーナーを、ベンツの後を追って攻める。
敵は想定外に速く、簡単には背後をとれない。
大きなギャップがあり、E320の車体が飛び上がった。しかし1発で収まり安定。続いてわが33Rもギャップに突入、激しい縦Gがわが内臓を襲う。

 


両者の速度は国産リミッター域を超え、トンネルに突入。当機の5速4500回転べた踏みと、ほぼ同等の加速をみせるE320は、100ノットを超えてもぐんぐん加速していった。
このベンツE320の高速域からの加速を以て、一体誰がたったの224馬力と信じるだろうか?
最近の3.5L級国産セダンには300馬力を超えるものもあるが、E320の速さは印象として彼らにひけをとらないものである。

 

シフトチェンジを億劫がり、5速に入れたままバトルを始めたことを私は今更後悔した。
トンネル内中盤で両者の速度は120ノットに達し、ようやくE320の加速が鈍った。
33Rの本領を発揮する時だ。私は左車線からE320をぶち抜こうと勝負に出た。しかし左に移ると前方に一般車あり、断念し再び車体をE320の背後に戻す。
無理なマニューバは禁物である。むしろ、このようなモーション自体が前を走るE320に強いプレッシャーをかけることを期待して戦闘を進めるのが良い。
 

           


トンネルを抜けると300Rの緩やかな左コーナーが待っている。今回、この地点での横G(遠心力)は普段の4倍、ハーフウェットであるため路面の摩擦係数は0.8倍程度、つまり単純に計算して平時より5倍危ないということになる。
トンネル出口手前で私はちょいブレーキング。ところが前を行くE320は、ブレーキもそこそこにコーナーに突っ込み、そのままクリア。



チューンドGT-RがE320にコーナーで引き離されるなどGT-R乗りとして情けない話だが、このようなことが現実に起こるのが最高速バトルの醍醐味である。
コーナーの立ち上がりで再びE320の背後をとるも、そのすぐ先は目的地のタンゴICであり、2台とも下車することとなった。
遭遇からわずか2マイルをほぼ全開で逃げ切ったE320の勝利である。


          

 
今回は、高速道におけるベンツの恐ろしさを久々に味わわされた一戦であった。
比較的ベーシックなE320は、無論5L以上のモデルやAMGとは速さで較べるべくもない。
しかし、ウェット環境での局地戦に限れば、E320はGT-Rに匹敵するポテンシャルを秘めていると言えよう。
 
  

                         
            
                      
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