2013年5月某日、職場より帰宅中、私はGT-Rの車高調を気遣い、舗装の悪い市道(vs VWゴルフ 参照)を
ややスローなペースで走らせていた。
すると後方より
BMW3シリーズ(E60)が接近。我が33Rの背後に張り付くと、もっとペースを上げろと言わんばかりに容赦なく煽ってきた。


           


高速道路では鬼と化す我が
33Rも、実は普段こうした状況でイジメられることが多いのである。
私は唇をかむほかなかった。ノーマルの足回りなら突破できる路面状況である。それをハードな車高調にわざわざ改造しているという負い目がこちらにもあるからだ。



2台は細道をぬけて国道バイパスに合流した。
我が33Rの背後で半車身ずらして身構えていた
BMWは、2車線になるや当機スレスレをハイスピードでぶち抜いていった。



” ナメやがって・・ ” 



私はにわかに敵対心を燃やし、既に
100フィート程離れてしまったBMWを撃墜しようとアクセルを踏み込んだ。
すると
BMWは、我がGT-R
の加速に即座に反応し、速度を上げた。



” ヤツも踏みやがったな・・速い・・ ”



ストリートでは後追いの方が楽だ。なぜなら、路上の危険察知という仕事の大部分は、先行車が負担を強いられることになるからだ。
後追いがすべき仕事は、踏み続けることだけだからである。



一般国道であるにも関わらず、2台の速度
は国産リミッター域近くに達した。
どうやらこの
BMWは
只者でないようだ。まごうことなき確信犯、普段からスピードを出している手練れの者である。



途中一般車数台をパス。申し訳ない。
やっとのことで
BMWに追いつき、サイドバイサイドで並ぶ。
緩やかな登り坂を越え、当機
1車身リードした時、400
フィート先の両車線上に一般車の車列を発見。両者とも減速する。



この一瞬のバトルが終わった後、私は何とも言えぬ不愉快を感じていた。
一般道で多大なリスクを犯してまで勝負するもきっちり決着がつけられなかった後味の悪さだろうか?いや違う。この形容しがたい不愉快の最大の原因は、自分自身を御せなかったことである。そしてこの不愉快のうちに、私は自分自身を破滅に追いやる惨事を引き起こすことへの恐怖の影を見るのである。




今回出遭った、やたら速い
BMWの正体は、335i3Lツインターボ306PS40kg)であった。
スペック自体は昨今の激速マシンと比べれば大人しいものに見えるが、そのポテンシャルは決して侮れるものではない。
最近、海外の動画サイトで同ユニットを積む
BMW 135iがポルシェ997ターボをアウトバーンでちぎる映像(下図)が紹介され話題となった。


           


外観から殺気をプンプンさせているBMW M3と異なり、
335iは外観上普通の3シリーズとほとんど変わりがない。
その意味で、真に羊の皮を被った狼と呼ぶに相応しいモデルである。
外観で相手を見くびった私は、
戦略なき後手後手のバトルを余儀なくされたのであった。




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