BCNR33は比較的マイナーであり、街で遭遇する機会は比較的少ない。たまにすれ違うと、ドライバー同士互いに 『おッ!』 という感じで目線が合うものである。
先日、夜勤を終えて市内の国道を走っていると、後方よりオレンジ系の色にオールペンした33GTRが接近してきたため、しばらくその33GTRと並走する格好になった。
そのうちに、不思議なことに仲間意識というか連帯感のようなものができてきた。



すると後方からブルーのインプレッサWRX STIが我々に接近してきた。
割り込みや車線変更、前車ベタ付けなど、粗暴なマニューバを繰り返しながら次第に接近してくる。インプレッサには若い男2人が乗っていた。
不愉快極まりないが、このような輩は相手にしないのが原則だ。と言いつつも私は素直に道を譲る気にはならず、さりげなく隣の車線の一般車を利用してブロックを試みた。隣の車線の車に対して完全に並走するのはあからさますぎるので、ギリギリ通り抜けられない範囲で隙間を時々開けて悪意のないそぶりを示すのがコツだ。





一方、延々ブロックを続けることは困難であるし、迷惑行為でもある。私は適度なところでインプレッサをパスさせた。
すると今度は、少し前方で先ほどオレンジの33GTRとインプレッサがバトルを始めたようであった。道は混雑しており、彼らは交通の流れを予測しながら車線変更し、互いに相手を出し抜こうとしていた。



どうやらインプレッサはGTRとの絡みを制して前へと抜き出たようだ。ほどなく敗れたGTRは交差点で別の方向に曲がって行った。
私は心の中で秘かにGTRを応援していていた。GTR2台が1台のインプレッサに喰われたような気がして悔しい気もするが、しかしこれはやむを得ない。
そもそもサーキットや湾岸などの特殊なステージでない限り、スカイラインGT-RがインプレッサSTIに勝つのは困難であろう。いや何より、混み合った道におけるこの種の絡み ― 日本全国あるいは世界中で毎日繰り広げられる愚か者たち同士の意地の張り合い ― に勝ち負けなどない。



前置きが長くなった。
そのあとインディア・ヤンキーICで高速道に乗り、片側一車線の道をしばらく行くと、前方に先ほどのインプレッサを発見。インプレッサは前方を一般車で塞がれた状態であった。
わが33Rをインプレッサに接近させる。





追い越し区間を前にして緊張が高まる。
私にはGTRに後ろをつかれたインプレッサの焦る気持ちがよく分かった。なぜならインプレッサは前方の一般車を煽り倒していたからだ。
それは切迫した心理状況を、敵である私にわざわざ教えてくれているようなものだからである。



追い越し区間がやってきて2車線になった。
インプレッサは追い越し車線に移るや否やアクセル全開。その走り屋然とした斜め跳ね上げの砲弾型のマフラーからボクサーサウンドが炸裂する。
こちらも3速60ノットからアクセルを床まで踏みつけてバトル開始。久々のガチンコバトルだ。



さすがにSTIだけあって、インプレッサの加速はかなりのものであった。立ち上がりで当機のRB26は5000回転に満たず、パワーが出ない。
少しインプに引き離された。
90ノットに達したころ、ようやくインプレッサに追いついた。続いて3速から4速にシフトを引き込む。
この速度域になると、ブーストアップのインプレッサとタービン交換したGTRでは全く世界が異なる。2Lターボの鋭い過渡特性が終焉を迎える領域である。



” ぶつかる、道を空けろ。 どかないなら左から行っちゃうよ ”



ここでようやくインプレッサは左に車線変更。私は一度戻したアクセルを再び踏み込んでインプレッサをぶち抜き、ギアを5速に入れた。
そのあと一般車列につかまって私が巡航速度まで落とした時、インプレッサはずいぶん車間を空けてわがGTRに続いていた。




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