2003年のある日、私は PS13シルビア に乗ってタンゴ自動車道上り線を走っていた。
県境をまたぐ山間に差し掛かった頃、1台のレガシー・ツーリングワゴンが後方から迫ってきた。
我がシルビアも追い越し車線をかなりの速度で走っていたが、レガシーは背後に張り付いくと激しく煽ってきた。


   


ここでレガシーについて少し言及しよう。
今でこそ国民車的な地位を確立しているレガシーだが、その源流はスバルがこのモデルを日本で大ヒットさせた平成5年に遡る。
その目玉はフルタイム4WD+2Lボクサーターボによる当時最強の280馬力を誇るエンジンであり、一時世界最速ワゴンの名をほしいままにした。
クルマと言えばセダンという固定観念が強かった日本に、初めてツーリングワゴンという概念がもたらされたのである。




” 一般車のくせに、走り屋を舐めんなよ・・・ ”



私はアクセルを踏み込んで、背後のレガシーを引き離しにかかった。
しかし、こちらが速度を上げれば上げただけレガシーもペースを上げて追尾してくる。



” チッ、しつこい野郎だ・・ ”



執拗なレガシーの煽りに疲弊した私は一端
バトルを止めようと思い、 シルビア を走行車線に移してレガシーに道を譲った。
しかし前方の一般車に追いついたため再び追い越し車線に戻ったところ、私のなかで再びレガシーに対する敵対心が強くなり、逆に煽り返してやろうと思い立った。



絶対に逃がさぬという気合でもって、レガシーの背後に13シルビアをつけた。
レガシーの速度が上がってゆく。
私は必死でくらいついた。が、レガシーが左に移って道を譲る気配はない。
私の攻撃は全然効いていない様子だ。



速度が上がるにつれて私は徐々に危険を感じ、怖くなってきた。
シルビアにはマインズのCPUを装備していたのでリミッターは解除されているはずだが、峠の走り屋をしていた私にとってリミッターの作動する100ノットの領域は未知の世界であったのだ。
ただ、こちらもプライドがあるので振り上げた拳を簡単に収めるわけにはゆかなかった。



結局10分ほど頑張って煽り続けたが、私は精神的に疲弊し、戦意を失ってレガシーへの追尾を断念した。
当時の私は、コーナーで速い者こそ上級者であり直線が速いのは初心者、などバカにしていたように思う。
思えばこのレガシーとのバトルが今に至る私の最高速ライフの原点だったのである。




                             
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