2013年夏のある日、夜勤を終えた私はすがすがしい朝日を浴びて、深夜の眠けがウソのような妙なハイテンションのもと、ヤンキーICで高速道に乗った。
片側1車線の道をベクター170に南進していた時、ふとバックミラーを見ると、後方に1台のSUVを発見した。


       


日産スカイライン・クロスオーバー。
1730kgの大柄な体躯にスカイラインのマスクを架装し、330馬力を発揮するVQ37を搭載したハイパフォーマンスSUVである。




片側一車線の区間では、クロスオーバーはごく普通のペースで走っていたので、私は何の警戒心も持たなかった。
追い越し区間に至ると、スカイラインクロスオーバーは我が33Rをパスし、ベロシティーを上げた。
私は夜勤の疲れのため、当初交戦する気は無かったが、彼のペースに引っ張ってもらおうとしたところ、スカイラインクロスオーバーが猛烈な速さでどんどん離れてゆくではないか。我が33Rが追ってくるのを意識し、アクセルを踏んだようだ。



” おい、待てよコラ。スカイラインもどきがRを引き離せると思ってるの? ”



しかし敵は予想外に速かった。私も90ノット近い速さで追尾するがなかなか追いつかず、300フィート以上引き離されてしまった。
やがて、前が一般車で詰まり減速したスカイラインクロスオーバーにやっとのことで追いついた。
我が33Rにロック・オンされたスカイラインクロスオーバーは、前方の一般車を煽りまくっている。



その先、タンゴICでマイク本線に合流。スカイラインクロスオーバーは追い越し車線に移るやいなや爆走を開始。
我が33も喰らいついてゆき、改めてバトル再開となった。



低速トルクがスカスカの我が33Rは、ギアを5速にいれたままの鈍い加速では引き離されてしまうので、4速に落して真面目に加速しないといけない。
トルクがあるのか、リミッターが作動する105ノットまでの加速が非常に速い。
スカイラインクロスオーバーについて、ネット上ではパワー不足との意見をまま見受けるが、いやいやどうして。自動車評論家ならぬ彼らが、本当に床まで踏んだうえで評価したものかどうか疑わしい。3.7Lの排気量と7速ATの走りは決して侮れない。



周囲がオールクリアーになり、私は背後から激しくプレッシャーをかけた。
クロスオーバーは左に車線変更、私は33Rのタービンに負荷を与え、追い抜きを実行した。
そこから一気に引き離そうと試みるが、一般車ありの、コーナーありの、強いうねりありのコースである。
リミッター域を超えるベロシティーを保つことは不可能であった。



 ” しつこい野郎だ。これだから高速SUVは嫌いだ・・ ”



スカイラインクロスオーバーのドライバーは、バトル慣れした様子で、戦意を全く失っておらず、当機がペースダウンするたびに背後に迫ってくる。
このような展開になると辛い。相手が闘いを放棄してくれればこちらも楽になれるが、そうでない場合こちらから終わることはできないからだ。
私は、以前同じように高速道でからんだVWトゥアレグやポルシェ・カイエンとのバトルを思い出した。彼らも背後からネチネチと私を苦しませた。
ストリートバトルでは敵を追い抜いたとしても、交通の混雑等の事情で、その後引き離すことができず逆に精神的に追い詰められる展開になることがあるのだ。
結局、スカイラインクロスオーバーとのバトルは12マイル先のインディア・シエラICで下車するまで続いた。
      


今回、私はスカイラインクロスオーバーの実力に大きな感銘を受けた。
我が33GT-Rで踏込みを躊躇するようなアンジュレーションの強い高速コーナーでも、スカイラインクロスオーバーはタイアやサスストロークのキャパシティーが大きいのか、余裕をもってクリアしている印象を受けた。




                              
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