2013年夏のある日、私は25マイルサウスウェストのノーベンバーホテルに出向し、日中そこでいくつかの業務をこなした。
夕方帰路についた時、海岸線沿いに延々と続く国道を大型トラックに続いて38ノットで走行中、我が33Rの何台か後ろにベントレーを発見。
離れていても、その異様なまでの威圧感を以て直ちに我がレーダーに感知されるのだ。





1920年創業イギリスきってのスポーツカーの名門、ベントレーが生んだハイパワー4ドア・サルーン、アルナージ。
ツインターボで過給される6.75L V8は、実に450PS、89kgのパワーを発揮し、2.5トンの重量ボディを146ノットまで加速させる。




ベントレーは流れに乗って、大人しく走っていた。
私は警戒態勢を解除し、いつしかその存在を忘れるようになった。
そもそも我が前方にはトラックなど、他に多くの車が散在しているので交戦は不可能な道路状況だ。
 




ところが見通しの良い所で対向車が途絶えた時、突然ベントレーが追い越しをかけてきたではないか!
” うわァ、来やがった! まさかこんなトコで・・ ”





サイドミラー越しに、その巨躯が対向車線に出て音もなくこちらへ急接近するのが見えた時、驚きと恐怖で私は心臓の歩調を一瞬にぶらせられた。
ベントレーは速やかに、そして89kgのトルクを反映して実に静かに、我が33Rやトラックを含め、数台をゴボウ抜きにしていった。



私はショックで一瞬戦意を喪失せしめられたが、すぐにリカバリーし、改めて状況判断に努めた。
しかし、やはりこの比較的混んだ道では我がポリシーの範囲内に収まる戦闘は困難と判断し、苦虫を噛み潰しながらベントレー・アルナージを見送った。


                           

                           
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